レビュー:Amazon.co.jp
北野武の監督12作目は、観る者を混乱せせることを彼自身が楽しんでいるような仕上がり。その複雑な構造を受け入れられるかどうかで、評価が変わるはずである。監督が演じるのは、コンビニでバイトする俳優志望の「北野」と、彼があこがれる人気俳優の「ビートたけし」の2人。幻想と現実、さらにビートたけしの演技部分の区別も判然としないまま、物語は暴走するように展開し、幻想のなかにも幻想が…と、複雑さは加速化していく。場面が切り替わるたびに、どの次元なのか分からなくなるのだ。
共演者たちも、それぞれのレベルで別の役を演じたりするのだが、岸本加世子はつねに主人公を批判する人物だったりと、役割は固定されているのがユニーク。『ソナチネ』『HANA-BI』と、自作へのオマージュともとれるシーンも多く、コンビニの店員の衣装など映像は『Dolls』のごとくカラフルだ。とにもかくにも“感じる”映画。監督の新たなチャレンジ精神には、ほとほと頭が下がる。
欝で出不精になっていた、というのもあるけれど、忙しいのもあり、二番館上映も見逃してしまった… 知人の「これはたけし版『紅い眼鏡』ですよ!」のおすすめもあったのに… DVD買うかな。
ところでいつも読んでる映画評論家の町山氏のブログに、こんな記述がある(笑)
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20060224
オイラが書いたのは「コマネチのやり方」「たまきん全力投球のいろいろ」「足立区コーナー」「熱湯コマーシャル」「たけしのお笑いウルトラクイズ」などとことんくだらない内容だけなので、北野監督をゴダールみたいに崇拝する欧米の映画マニアはみんな頭を抱えたに違いない。
いいなあ、こういうの、大好きだ! たけし自身も好きなんじゃないかな。
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