1月4日、やっと政府は住民用の回線をつないだ。津波発生から9日目である。最大の被災地メラブにいたっては、12日後の1月7日である。では、インドネシア政府はその間何をしていたのだろう。小出しに出てくる情報から少し事実が見えてきた。インドネシア政府は、1970年代から独立運動地アッチェに対し強硬な対抗手段をとってきた。アッチェの年間予算の約6倍の予算を使い政府軍を送り込んでいる。この軍隊が津波当日、アッチェで大規模な軍事訓練を行っていたらしい。その為、軍事訓練参加者の多くが死亡している。警察官もバンダアッチェだけで、1500人が死亡している。想像されることは、政府はこの軍隊の家族の救援に全力を注いだことである。このための報道規制、通信規制、民間への救援規制の可能性がある。その間に、何人の救われた人が死んでいっただろう。これで、あれだけの多くの救援物資がありながら、現地の被災者に届かなかった訳が見えてくる。現地の人が一番先に恐れていたのが、インドネシア政府軍隊だった。略奪、レイプを怖れたのだ。事実、避難後再びメラブの妹の婚約者が2人で住んでいた家に貴重品を取りに戻ったところ、貴金属、お金、そして男物の洋服が盗まれていたが、妹の洋服は全てそのままだった。もし被災者がやむにやまれず入ったのであれば、男女とも洋服は必要だったろうが、男物のみとなると、軍隊しか考えられないというのが、婚約者の話だった。政府は被災者救援に軍隊を送ったのでなく、軍隊救済のために軍隊を送ったのである。インドネシアの一般市民から、現大統領に対する不信感は高まるばかりである。地元TVは、連日海外からの来賓客を迎え、多額の義援金をもらい、しかも過去の借金まで棒引きにしてもらえるボーナスつきの恩恵にあずかり、笑みを浮かべる大統領の顔が映し出されている。おそらく日本のマスコミには流されていないかもしれないが、現地アッチェでは「政府はアッチェを利用して海外から借金をするな!」というプラカードを掲げてデモが行われている。そう、政府は対立するアッチェの勢力を抑えることが出来ること(住民の5分の1が死亡)、アッチェの経済の立ち直りに5年から10年はかかるがそれをコントロールできる可能性があること、アッチェの被害を理由に多額のお金が手に入る(政府高官の懐が潤う)こと、過去の多額の借金が帳消しになること、政府はお金を一切出さずにいられること、しかもその上に海外から借金をしようということ、濡れ手に粟とはこのことである。政府としては、笑いが止まらないだろう。救援物資が軍の飛行場で野積みのままであるのは周知の事実。いくら海外が支援の物資を送っても、それをインドネシア政府や軍に渡せば、そのほとんどが彼らの懐に入ると考えるべきである。ましてや、日本政府のように、お金の問題で済ませようとするならば、近隣諸国の高級住宅地に政府高官たちの別宅が半年後に立ち並ぶだろう。ただ、海外の軍隊がアッチェに自ら救援物資を運べば、話は別である。まず、インドネシア政府軍の略奪、レイプが抑制されるからである。彼等は、海外の軍隊が入ってくれば何も出来ない。だから、被災者たちは、海外の救援物資も嬉しいが、それ以上に海外の軍隊の駐留にほっとしている。被災地の安全を確保してくれるからだ。

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